2008年6月13日金曜日

Vol.13 形のあるもの、形のないもの

権利とは経済的利益を一定の期間受けることを許された無体財産である。逆読みすると「利権」となり、こちらのほうは同じ経済的利益でも期間や保証のない、ある種の財産ということになろう。相続税が対象としている無体財産は両方を指すが、前者の方が著作権、特許権、実用新案権など公的に保障された権利であるのに対して、後者で対象となるものはMLM(マルチ・レベル・マーケティング)組織上あるいは保険代理店組織上など、認められた相続可能な利権のみである。

政治家の利権、個人商社の商権などは明文の規定がない場合、経済的価値とは認められない。法人組織上合併や買収などで獲得した暖簾も株式という財産を通じて財産の一部と認められることはあっても、そういった厳密な規定がなされていないような場合は財産と認識されないのである。

逆に言えば目に見える確かな形なき財産の移転は現行相続税法の範囲とするところではないので、親から子に伝える伝統芸、あるいは法人でいえば帝王学など教育投資ないしはノウハウ、人的組織など、知恵に長けた税理士などは巧妙に相続税の網をくぐり抜けさせているものなのである。

要するに現行相続税法でとらえきれる無体財産は、生前の職業などから特許庁などに照会し、問題点が発見できれば、すかさず調査に移行するということである。