昨今海外資産に対する相続税・贈与税の取り扱いが厳しくなったが、少し前まで国によって軽減されていたり、まったく存在していないケースを利用する形で、様々な対策が存在していた。最近の判例でもある上場大手サラ金会社の後継者が、いったん国税から下された決定を裁決の場でひっくり返したケースは、聞き覚えのある方も多いことだろう。
海外渡航暦の多い又は海外送金の多い「タレント」・「アーティスト」・「作曲・作詞家」・「作家」・「政治家」・「評論家」・「会社社長・役員」・「医者」・「アスリート(スポーツ選手)」・「格闘家」・「各種プロデューサー」・「映画監督」・「弁護士・会計士・税理士」・「代議士及びその秘書」などは海外隠し資産を疑われると思って間違いない。
風評や個人あるいは法人での確定申告内容、さらには金融機関・税関などから収集する資料で、ある程度の「めぼし」を付けてあるものなのである。現金・貴金属など直に持ち出ししていれば足がつかないのではと思われるかもしれないが、航空会社の搭乗記録さらには国税の現地駐在員(アタッシュ)も居る。また租税条約締結国では予想外に迅速な反面確認が可能となってきたから安易に考えるのは禁物だ。
2008年1月28日月曜日
Vol.5 海外渡航も足が付く
2008年1月15日火曜日
Vol.4 残高ゼロでもチェックされる
本当の資産家の心理は自分がそうではないので計りかねるが、案外質素でメリハリがあるものなのかもしれない。日本に多い土地がほとんど、つまり先祖からの財産を引き継いでいる場合は別として、ちょっと前に流行った「IT長者」や「個人開業医」、「上場会社オーナー一族」などは株や債券、外為などを別口で行う場合が多い。つまり名義を借りた事実上の借名取引で、当の本人は「死期」が近づいたと悟った時や気力がなくなったと感じた時、さっさと手仕舞って(終わりにして)、口座残高を0円にしてしまうことも多い。
証券会社に対して反面調査を行うと、「顧客勘定元帳」を必ず調査するものだが、現状たいした現金残や預かり資産が無くとも、過去に多額の取引や利益を上げている場合は「チェック」されるケースが多いと考えたほうが良いだろう。
国税局や税務署でも「特別チーム」があり、別件で分からぬようにそういった目立つ口座をピックアップしておくものだが、まさに頭隠して尻隠さずで、残高さえゼロにしておけば安心と思っている人が意外に多い。証券会社から自分の銀行口座に資金を移動すれば必ず足が付くし、たとえ現金で持ち運びしたところで証券会社担当者の口はふさげないからである。
2007年12月28日金曜日
Vol.3 潰されていく節税策
資産税関係の税務調査で選定されやすい業種の一つ、不動産賃貸業のオーナーだった場合について言えば、不動産をたくさん所有していたからといって、ただちに調査対象に選定されるわけではないが、その場合は事情がちょっと違ってくる。不動産の評価は路線価等を使用して計算するが、実際の面積は実測してみないと判明しない場合が考えられるからである。とくに宅地以外の場所あるいは広大地が課税資産として残されている場合は慎重に検討され、その年の全調査対象のうち約30%程度である実地調査対象に入る可能性があるのだ。
また、優良非上場会社のオーナーも調査される確率は非常に高くなる。なぜなら、その持ち株会社の株価について「純資産価額方式」をはじめとした各種評価方法の是非を、税務署が厳しくチェックするからである。現状、純資産価額方式の特徴である含みの清算法人税分42%の控除は、持ち株として「上場会社」以外は無効であるが、配当還元方式は争いがあった。結論としてつい先ごろ、仕組まれたような配当還元方式は無効とされて判決が出たばかりである。なるほどと思うような方式も「実質課税原則」の名のもと逐次潰されていくのはわが国資産税制の特徴なのだろう
2007年12月7日金曜日
Vol.2 裏社会とのかかわり
「資産税調査」の対象で生前の職業が不詳といえば、「総会屋」あるいは「裏社会」といったキーワードが思い浮かぶのではなかろうか。暴力団新法施行以来、一般社会に溶け込んでいる関係者が多くなってきた。警視庁ないし県警本部では全容を掴んでいるらしいが、税務署の担当である総務課課長補佐が「教えて」と言っても、おいそれと教えてくれるものでもない。
そんな訳で、最近の資産税をはじめとする調査官たちには「お気の毒」と言うしかないが、かつて銀行調査で預金口座のコムフィルムを見ているとき、印象的な動きがままあったものである。いわゆるカミナリ型の動きをしている大口の入出金である。そのまま現金引出しされるものもあれば、定期預金として固定化されるものもあった。
あの世界のとんでもない頭の切れ方をする人達のこと、相続税に銀行預金として「7年」の贈与税時効が成立すれば、あからさまな「名義預金」でもそれを問えないことを知っていたのかもしれない。しかも贈与契約書・公正証書があり、通帳・印鑑も正当に管理されていた場合、取っ掛かりは限りなくゼロに近いと考えてしまう・・・。まあ、利息なりともいただくしかないんですかね・・・。
2007年11月20日火曜日
Vol.1 職業による区別アリ
相続税調査の場合、生前の職業によって調査対象に選定される度合いが変わってくるのだろうか?といった疑問ないし不安をお持ちの方もいらっしゃると思う。職業には差別も区別もないと言いたいところだが、相続税調査の観点からは差別はともかく、区別は全くないとは言いがたい。
なぜなら調査選定の段階で、申告されてきた相続税申告書をチェックすることから始めるのだが、その段階で生前の職業に関係する法人税なり所得税申告書を引っ張り出し、申告状況あるいは過去に調査が行われていれば、その状況をチェックすることになるからだ。
国税当局がマークする場合、現金取引中心で調査困難業種である「パチンコ・パチスロ」・「ラブホテル」・「ソープランド」・「ナイトクラブ等飲食店チェーン」・「金属リサイクル業」、あるいは富裕層である「老舗の開業医」・「ネット系新鋭上場企業」などのオーナーだった場合は、生前の調査補完などの意味を込め、選定されやすいことは否めない事実である。もちろん他の要因も加味するが、税金の最後の砦よろしく思わず力が入ってしまうものなのである。