2008年11月21日金曜日

Vol.18 子孫に美田を残すと…

今回からは数回に分けて、「資産税」部門に集積されている被相続人の生前資料からどのように相続調査の選定が行われるか説明する。

生前、被相続人が、法人のオーナーまたは個人の事業者だった時代に高級品を購入していれば、そのデータが税務当局にはある。そのため、別荘や絵画、ヨットやクルーザー、高級外車、リゾートクラブやゴルフ会員権といった購入事績があり、法人税や個人所得税の調査が不十分のまま死去してしまったら、やはりこの「高級品」に眼がいくことになる。

もとより、相続税調査は、自然人つまり人間(日本国民)が最後に受認しなければならない義務といえる。しかし、本人は亡くなっているため、相続人がかわりに調査を受けることになる。税務当局側の考え方としては、生前の法人なり個人事業からの税金を100%捕捉していなくとも、相続時つじつまが合えばOKという考え方もできる。ただし、マンパワーに限りもあるので、十分吟味し、全体の30%程度にしか調査が行われない。

そのなかで、事例にあげたような、不審な高級品(物件)購入資料が見つかれば、当局としては、相続税の申告財産リストにあるかないかは別として、いったんは調査選定したくなるのが人情というものだ。

当然、相続税申告書に、その高級品が記載されていなければ、換金資産の行方を追う。しかしかなが、税務当局が、高級品(物件)の購入自体に“ブルブル”と震えるのは、やはり嫉妬心を感じる?からというのもいいすぎではないように感じる。

“子孫に美田を残さず”といった偉人もいるが、やはり派手に資料に残るような買い物は、美田というよりは子孫に手痛い“ツケ”を残すことにもなりかねないので、しっかり説明できるに、生前から相続人を教育することが必要であろう。