2008年1月28日月曜日

Vol.5 海外渡航も足が付く

昨今海外資産に対する相続税・贈与税の取り扱いが厳しくなったが、少し前まで国によって軽減されていたり、まったく存在していないケースを利用する形で、様々な対策が存在していた。最近の判例でもある上場大手サラ金会社の後継者が、いったん国税から下された決定を裁決の場でひっくり返したケースは、聞き覚えのある方も多いことだろう。

海外渡航暦の多い又は海外送金の多い「タレント」・「アーティスト」・「作曲・作詞家」・「作家」・「政治家」・「評論家」・「会社社長・役員」・「医者」・「アスリート(スポーツ選手)」・「格闘家」・「各種プロデューサー」・「映画監督」・「弁護士・会計士・税理士」・「代議士及びその秘書」などは海外隠し資産を疑われると思って間違いない。

風評や個人あるいは法人での確定申告内容、さらには金融機関・税関などから収集する資料で、ある程度の「めぼし」を付けてあるものなのである。現金・貴金属など直に持ち出ししていれば足がつかないのではと思われるかもしれないが、航空会社の搭乗記録さらには国税の現地駐在員(アタッシュ)も居る。また租税条約締結国では予想外に迅速な反面確認が可能となってきたから安易に考えるのは禁物だ。

2008年1月15日火曜日

Vol.4 残高ゼロでもチェックされる

本当の資産家の心理は自分がそうではないので計りかねるが、案外質素でメリハリがあるものなのかもしれない。日本に多い土地がほとんど、つまり先祖からの財産を引き継いでいる場合は別として、ちょっと前に流行った「IT長者」や「個人開業医」、「上場会社オーナー一族」などは株や債券、外為などを別口で行う場合が多い。つまり名義を借りた事実上の借名取引で、当の本人は「死期」が近づいたと悟った時や気力がなくなったと感じた時、さっさと手仕舞って(終わりにして)、口座残高を0円にしてしまうことも多い。

証券会社に対して反面調査を行うと、「顧客勘定元帳」を必ず調査するものだが、現状たいした現金残や預かり資産が無くとも、過去に多額の取引や利益を上げている場合は「チェック」されるケースが多いと考えたほうが良いだろう。

国税局や税務署でも「特別チーム」があり、別件で分からぬようにそういった目立つ口座をピックアップしておくものだが、まさに頭隠して尻隠さずで、残高さえゼロにしておけば安心と思っている人が意外に多い。証券会社から自分の銀行口座に資金を移動すれば必ず足が付くし、たとえ現金で持ち運びしたところで証券会社担当者の口はふさげないからである。