2008年10月17日金曜日

Vol.17 事業承継税制に不安材料

平成21年度税制改正では、中小企業の事業承継にとって革命的な法案が予定されており、成立すれば今年10月から遡及適用される。その革命的な法案とは、事業の後継者を対象とした「取引相場のない株式等」に係る相続税の納税猶予制度の創設だ。

すでに、その基盤となる「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(経営承継円滑化法)は可決され、今年10月から施行される。税制はその後付となる形だ。

この事業承継税制、簡単にいってしまえば、一定条件を満たした場合、後継者が相続または遺贈により取得した自社株式の80%に対応する相続税の納税を猶予するといいうもの。

一定条件とは、「中小企業基本法の中小企業」であること。たとえば、製造業であれば、資本金3億円以下または従業員数が300人以下。また被相続人は「会社の代表者」、「被相続人と同族関係者で発行済株式総数の50%超の株式を保有かつ同族内で筆頭株主であったこと」、さらに相続人(後継者)は、「当該会社の代表者である」「相続人と同族関係者で発行済株式総数の50%超の株式を保有かつ同族内で筆頭株主となること」となっている。

相続税法が、ほかの点で変わらない(遺産取得課税方式への見直しは除く)とすれば朗報である。

私見だが、極端にいえばすべての財産を株式化した場合最も有利(取得した自社株式の80%とはいえ限度は発行済議決株式総数の3分の2となっている)とも思えるが、兄弟姉妹間の争いや、税法の“シバリ”もなにか出てきそうで、そんなに単純にことが運ばない気がする。

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