このコラムではこれまで、調査されやすい業種から始まり、告発文書あるいは関係者からのタレコミ電話を通じた一連の調査着手までの流れ、さらには、実際に相続税申告書が提出されたあと、当局部内でどのように処理されるか紹介してきた。
そこで今回は、相続税調査担当部署の基本姿勢、つまり調査に臨むにあたっての技術的な部分について教えたいと思う。
現在の国税職員の人数的な問題から、相続税調査のキャパシティとして、相続税申告書が提出された中で30%程度が調査可能な件数ということはかなり知られている。この30%をどう選んでいくかも、これまでのなかで解説してきた。では、もし調査されるとすれば、その相続人は、当局から具体的にどう調査されるのだろうか。
ひとつ言えることは、かなりの確証を持って調査に来るということだ。もちろん予告の上、紳士的に調査を進めることはあたりまえだが、ひとたび調査になったら、なんらかの問題点を指摘してくる可能性は高い。
準備調査の段階で、とくに力を入れて調べるのが、かつては、被相続人のものだったが、すでに相続人名義となっている「預金」。つまり「名義預金」の存在だ。可能な限り事前照会し、不審な預金関係はすべて洗い出す。そして、いったん臨場した場合、それら不審点を中心にして、調査内容を構成する。もちろん、周辺からの巧みな“いもづる”話法を駆使してくることは間違いない。
2008年9月19日金曜日
Vol.16 相続税調査でまず探すのは「名義預金」
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